HIROSHI WATANABE aka KAITO Mail Interview 1998 to 2000

Live Info.

2023年12月31日までの限定公開中

QUADRA 1st.アルバム Sketch from a Moment Mail Interview 03

確かにFROGMANからのシングルEPとフルアルバム"Sketch from a Moment"、その後の“Pacific State”に参加された時とでは、明らかに音が変わっていますよね。Quadra名義のフル・アルバムは、どっしりとしたビートの上に、目の前が広がって行く感じのメロディーが入って来るところはとても新鮮でした。特に9曲目のIncubusはシンセが歌いあげるような綺麗なメロディーがとても印象的で、11曲目のノン・ビートでアンビエント・ティストなSpell of Rainも素敵でした。このアルバムについての、エピソードとかを、お聞きしたいのですが。

あのアルバムはね、本当に色々な事を考えて作った
もちろんファーストアルバムってこともあるけどやっぱり、一番に考えていたのは一度聴いてもらってそれで終わり、、、みたいな詰まらないものには絶対にしたくなかった。ともかくアルバムの中に入っている全ての曲があってはじめて一つの完成型であって欲しかったし、だから、実際に作業をする前からノンストップ(音が無くならない)にしようって考えていました。結果は効果音などを入れてうまく曲と曲の間をつなげる方法を取った訳だけどね!
 

でもあれが僕自身はものすごく気に入っていて、聴いている人達それぞれが色々なイメージや事柄を想像しながら僕の音の世界に入り込んでいってくれるだろうなぁ、、、って出来た時に確信しましたよ。

一つ終わったら次ぎはなんだろう? って思ってもらえたら嬉しかった!
 

実際に曲の長さなども自分で何度も聞き、アルバムをものすごく意識した長さにしてあります。だから曲によっては短いものもあるしちょっと長めのものもありますよね!
 

それから、あの中にはもちろんアルバム用に作った曲もあるんだけどそうじゃない、その前にずっと貯えていた自分の大好きな曲もかなり入っています。結局、アルバムのタイトルがああなったのもそういった意味があるからなんです。自分のそのときどきのスケッチした音の世界をまとめたという!!!
 

自分でもQuadraでやっているサウンドってものはともかく一番僕の素直なものだと思っているし、ただただアルバムとしてどうまとめるか! って事を第一に考えて作っていたよね。みんなが言ってくれるQuadra節ってのが僕自身やっぱり大好きなところなんですよ!
あの雰囲気ってのは僕がクラブミュージックと出会う前からやっていたスタイルだったんだよね。
 

要は、自分の自然に求めていた音のイメージとクラブミュージックの中で憧れたあのビートの感覚ってものを自分なりにうまく融合した形がQuadraなんです。僕自身あのアルバムはいつまでも聴ける素晴らしい作品だと思っていますよ。

“Sketch from a Moment”は、目の前に凄い空間が広かったようなイメージが残るんですよね。クラブで聴くと、きっと踊ってるんだろうけど、家で聴いていても、すーっと入っていけるというか。再びコンピレーションアルバム“Pacific State”で耳にするQuadraサウンドはよりテクノ色が濃く変化しました。、CD2枚組みの日本人でテクノ系を代表する方々が参加されたわけじゃないですか。Quadraとして新しい変化が“Pacific State”から始まったと、おっしゃってましたよね。そんな時期にこのコンピレーションに参加されて、何かしらの意識ってありましたか? これだけ日本人オンリーで沢山の方々が参加したコンピレーションって、そうそう無いと思います。

やっぱりねぇ、コンピレーションの場合は特に気合いが入っていたよね。
リミックスでもそうだけど、せっかく自分の作品が入ったのに聴いてもらった瞬間に何のインパクトや感動を与える事が出来なかったら全く意味が無いでしょ!
 

もちろん、今とは違って昔は、参加している誰よりも格好の良いトラックを入れよう!!!

って思ってやっていたし、、でもまたこの競争心みたいなものがものすごく、時にエネルギーを放出させてくれるんだよね。それが良いか悪いかは人それぞれ違うけど、特にNYに居るとそう感じさせられることが多い。
 
でももっと最近は純粋に自分のやっている事を信じて、それこそただ素直に、その時に出来る最高のものを作ろう!! って考える様になってきた。

きっとある意味自分のやっている事に自信というか信頼が湧いてきたのだとも思う。良いものは誰が何と言おうと良いでしょ! って。1曲1曲がやっぱりとても大事な僕の作品だからね!
 

いつまでも「この曲やっぱ良いよね~」って聴いた人達に言ってもらいたいよね。クラブでかけても家で聴いてもってのが一番の僕の理想かも?
もちろん、全ての曲がそうであることはまず不可能だけど、、、  時にはクラブ用としか考えないで作る時も多々あるから。だから、作品がレコードで出るのかCDで出るのか? ってのは大きな一つのポイントだよね!
大事なのはそこに存在している意味がちゃんと作品にあるのか? だと思う。
 

そういう意味では“Pacific State”でのSuper Loopもちゃんと意味を持てたと思う!

結局、最終的には誰が他に入っていようが全然関係無くなっちゃうものだから。でもだからと言ってむやみやたらにどんなコンピレーションにも参加するってのはどうかと思う、、、一つ一つの曲も絶対に大事だけど、ちゃんとその企画が筋を通っているかどうかも大事だから。
せっかく自分の曲を入れるんだからちゃんとその辺は選んだ方が良いと思うよ。

コンピレーションに参加した時の競争心、自分の曲が1曲ぐらいしか収録されない状況の中での感動やインパクトを伝える大切さですよね。同時にリミキサーとしても、電気グルーヴのアルバム『A』のリミックス・アルバムや、まりんさんの12inchシングルでも、Quadra名義でリミックスされていましたよね。こういう企画モノみたいな中で、しっかりと自分を出せるサウンドまで持っていくっていうのが凄く大切なんだ、と。昔のLoudのインタビューなどで、N.Y.で活動していて、凄く自分を外国人だと意識すると、、、まだN.Y.の本当のグルーヴをつかみきれていないんだ、、、といようなコメントをされていたと思うのですが。こういったコンピレーションに参加したりして来て、今は自分に自信や信頼が湧いて来たっていう事は、だいぶ自分や周りの状況が変化して来たと思うのですが。

Recycled A”のときはやっぱすごい気合い入れてやったよね!
 

当然、CDが出る前から大体聴く人の数って分かるでしょ! それもものすごい数の人が。もともと電気グルーヴは大好きなグループでもあるしね! それこそ期待に添えられるものが出来たらという思いで作っていたよ。僕もあのリミックスはすごく好きです!
 

そうそう、昔のインタヴューを受けている頃は、まだ確かにNYに対する自分なりの挑戦をしている時だった。色々と追求していくうち、段々とそんな事をいつの間にか意識していない自分に気付いた。
それからはものすごく落ち着いて冷静に自分の作品に対して見れる様になっていったんだよね。前の自分は日本にちょっと帰っただけでも直ぐにNYに早く帰ってトラック作らなきゃ、、、って思ってたんだけど、今はそういう風には思わないんだよね。
 

やっぱり知らない間に本当に自分の事を信じれるようになったのかもね、、もちろん人間だから、細かな精神の波はあるけど、大きく見れば随分と色々なことに対して構えられるようになっているんだと思う。

これがずっと続けば良いんだけどねぇ!
 

何か前は随分と人が自分の事をどう思うか?とか、果たして日本で僕のトラックはちゃんと認められているのか? とか、、、  変なとこ色々と考え過ぎてたんだよね、結局そんな事って全く必要の無い心配である事も今は分かったし。unyoくんをはじめ、こうやって僕を応援してくれる人達のおかげでもある。
結局、心配しなくても好きでいてくれる人はずっときっと僕の曲を聴いてくれるだろうし、また、たまたま僕の作品と遭遇した人がその時に気持ち良く共鳴してくれればそれで良い事なんだよね。
 

あとはせっかく世に出た作品がどれだけの人たちの手に届くか? ということでしょ!!!
 

ものすご~く地道なことだと思う。これからこの先、有名になろうがならまいが全く関係の無い事だから!! とにかく僕はず~っとこれからも音楽を作って行くつもりなだけ。いつかそれが大きなエネルギーみたいになって世の中の何か面白い流れを作る事が出来たら最高に嬉しいし、人生楽しいと思う。
夢は大きくでしょ!!!

アルバム“Sketch from a Moment”は、凄く日本的だなって思ったんですよ。繊細で細い糸が絡み合って1本になっているような。それから、随分と時間が経ってから、NITE SYSTEM名義のシングル"You've got to be There E.P"で、ガツンって来る感じだったんですよね。それから、beatmaniaシリーズがあって、Deeper Rekordsからの2nd E.Pの曲なんて、今まで以上に図太くて凄いトライバルで。特にDeep in the Undergroundなんて、フィルターかかってる太鼓のような音や、何か日本をイメージさせるようなパーカッションの音が、凄い臨場感あって。DEEP TRUST名義の新曲も、もう一つのダークな一面が全面に出ていて、凄いカッコイイ。N.Y.で活動しているっていう事が大切だと思うところもあるのですが、もう、これらの曲を聴いているとN.Y.発信って肩書きなんて要らないし、僕らリスナー側も、全然そういう意識が無くなって来た感じがします。

本当にあのアルバムは作って良かったと思う。
実際に作っている時はみんながいつまででも聴けるもの! というのをずっと意識して作業をしていたからね。本当に心を込めて作っていたよ! だから、何年経ってもまだあのアルバムを聴いていない人がいたら是非聴いてもらいたいと思う。これから、じっくりとQuadraの2ndアルバムを作るけど、本当に楽しみ!
 

それから、DEEPERのEPはね、あれを作っている時の自分をよく覚えているけど、本当に気合いが入っていた。色々な事が頭の中で渦を巻くように、、、自分が現在、NYに居るんだという事、これが僕なりの追求して来た答えなんだ! みたいな感じだったと思う。この曲でみんなガンガン踊れ~! ってね。
 

だからあれを恐らく作った後くらいから何だか自分の中で模索していたNYでの追求というものがポっと消えてしまった様な気がする。それからはDJでかけるためにレコードは探すけど、製作のためにわざわざ刺激のあるレコードを求めたり、クラブに行ったりという事が無くなっていった。あくまでも自分は自分であると!
 

だから、前よりもずっと素直に格好の良いものを良いと思えるし、気持ちが楽になったよね。前だったらちょっとでも格好の良いレコードなんか見つけたら、もう悔しくて悔しくて、「クソ~、俺もこれよりスゲ~の作るぞ~」ってやっきになってた。
まぁ、こういう気持ちも大事は大事なんだけど、僕的にはあまり好ましく無い姿勢だったから、、、決して勝ち負けじゃ無いからね。そうして出来たのがもうすぐ出るDEEPERのセカンドEPなんだ!
 

“Deep In The Underground”は確かにもう、NYだとか何だとかの次元じゃ無い別のものだと自分で思う。本当の意味の自分自信の作品だと確信しているから。それに、気付いてみたら自然に和太鼓の色々な音を集めていてあんな風に出来上がっちゃったし。ほんと自分でも面白いと思ったけど随分と日本だよね!

あの曲をDEEPERのジョナサンに聴かせた時、すごいビックリしてたもん。 きっとこっちの人には無い音というか発想だったのかもね!
 

“DEEP TRUST”っていうのは8ballとの契約の為に考えた名義なだけだから基本的にはNITE SYSTEMでやりたい事と同じなんだけどね。名前も大事だけどやっぱり音でしょ!!!

音聴いて「あっ、これHIROSHIだよ!」って思われることが嬉しいから。
 

でも、面白いくらいに自分の中でQuadraでやりたいことっていうのはず~っとある形があって、それはそれで進行していて、NYに来たって何も変わらず存在しているんだよね。不思議な感じがする!
やっぱりQuadraで作品を作る時の方がリラックスしてやっているのかな?!多分そう思うよ。これからやるアルバム作りが楽しみで仕方ないもん!

今年に入ってから、日本でも色々とDJや仕事をされていたそうですが、、、そろそろ出回り始めているbeatmaniaの4th.MIXや、噂のブラック・ビスケッツのリミックス。アニメTVの音楽など、かなり幅広く音楽活動されていたとの事ですが、その辺りの話も含めて、まだN.Y.で活動を続けるワタナベさんの今後の活動予定などを、教えて下さい。

ちょうど去年の7月だったか、何だか急に「あっ、もうNYはあと1年で十分だな」って思っていた。だからもうあと1ヶ月後、5/27には日本に帰っています。やっと日本に帰れるのかぁって感じかなぁ!
 

本当に今まで自分は正しい選択をして来て十分な位に沢山の経験と思いをしてこれたから。

1990~1999だからほんとにちょうど10年アメリカにいることになるんだよね!

長い様でやっぱり短かったなぁ。僕は結婚はもう3年くらい前にしているんだけど何だかものすごいタイミングの良さで子供が出来たりとか!!! 9月に生まれる予定です。
 

日本に帰ったからと言って別に自分のやっていることはなんら変わりません。ただ生活する場を日本に移すだけで、もちろんDJもクラブミュージックも引き続き作り続けていきますよ。きっともっとやりたいことがハッキリと見えてくる様な気がする、僕にとってはもうNYという場所を一度離れて見て、一度自分を冷静に見てみる必要があると思って仕方がないのです。この街はいつ来たって変わることの無い街だし、もし、今後また自分にここにしか無いエネルギーが必要だとしたら、いつでもここに来れば良いと思ってる。
 

今後の音楽家としての活動はまだまだやりたい事だらけだから、今やっていることはきっと飽きるまでずっと続けていくけど、今後はもっと幅を広がらせていくだろうね。それらもきっと自分が日本に帰ったらもっとはっきりと見えてくると思うよ。だからこれからが楽しみで仕方が無いです、今後はそういう事で日本で頑張りますのでどうぞ応援をよろしくね。

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