角 悠介
『呪文の言語学 ルーマニアの魔女に耳をすませて』
(作品社)
本屋に立ち寄っていた時に、この表紙が目に入って「呪文の言語学?、なんだコレは?」と。どうしようかな、と迷いつつ他に欲しい本はないかと彷徨い、2,3冊ほど手にしたところで「やっぱり気になるな」と購入。
ルーマニア在住の言語学者が〝言語学〟の視点から伝承されている呪文を現代に紐解く謎めいた研究書。

呪文を言語学として?、という部分にも興味が湧いたんですが、あとルーマニアという国にスポットを当てていた事にも興味があったんですね。
去年、2025年の大阪関西万博2025で、ルーマニア館にも訪れていたんですが、ちょっと他の海外パビリオンとは違う〝異質な〟感じを受けていたので、気になったんですよね。
ルーマニア館で自国紹介映像が流れると思うのですが(海外パビリオンでは、映像等で自国紹介や自国自慢は何処でもやっていました)、この映像がなんというか、、、少なくとも私には若干〝ホラー〟的に感じる部分があって、内容は至って真面目にルーマニアという国を紹介する内容で、何一つホラー要素なんて無いんですが。
この不思議な感覚は、なんなんだろう、というのが、ずっと引っ掛かっていたので、この本が気になった、というのがありました。
著者の角悠介さんは、ちゃんとした言語学者でルーマニアの大学で日本語や日本文化を教えながらも、専門はロマ語という。。。
なかなか普通に生活をしていて、所謂〝ロマ〟にまつわる情報を見聞きする事なんて、そうそう無いので、ここでも少し驚きました。
魔法使いが魔法を使う時に唱える〝呪文〟、というイメージが固定概念として強くあると思うんですよね。私もそうです。
ただ、この本を読んでいると、意外と〝呪文〟というのは、言語学の立場から考えると、けっこう何処にでもある身近な言葉なのでは?、と思えてくるのです。
この本の中でも、日本の神社仏閣で売られている〝お守り〟の中には、大抵なにかしら文字が描かれていたりして、それも〝呪文〟と考えられる、と。
僧侶が唱える〝お経〟も、西洋風に言えば呪文なんじゃないですかね?
身近で、昔からよく言われるような決まった文言も〝呪文〟なんじゃないでしょうか。
今でこそ、色々と身近で発生する現象を科学的・数学的に理解する事の出来る時代になりましたけど、それ以前は人間の知恵では理解出来ないような不思議な現象ばかりだったと思うんですよね。
それに対して、人間は〝言葉〟で表現して理解しようとしただろうし、対処しようとしたと思うんですけど、その言葉で対処しようと試みながら、その言葉が代々と伝わり〝呪文〟化していったんだなぁ、と。
その言葉には力があって、その言葉を聞く事で方向性が決まったり、決断や保留や変更したり、というのが結果として〝呪文〟となっていったのかな、と。
だから現代語の中でも、100年後も生き残っているフレーズがあれば、それは〝呪文〟なのかもしれない。100年後まで使われ続けるだけの、言葉の力があったんだから。
魔法使いが使う〝呪文〟、という本ではありませんが、ルーマニアという国の背景を辿りながら、言葉がどのように伝承されていったのか、という事を知る事が出来る、なかなかマニアックな本でした。
P.S.
個人的に残念だったのは、やはり学者さんが書かれた本である為、ちょっと読みにくいというか、文章自体は優しく解りやすく書かれているのですが、もう一つ、物語的にのめり込め無い感じがあって、読むのが少ししんどかったかなぁ、、、まあ、私自身、本を読むのが遅い、集中力が持続しない、っていのもあるんですけどね。
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