内田隆三 『乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか』

Book

なんちゃって〝似非〟金田一耕助ファンとしては、ほぼジャケ買いに近い勢いで買ってしまった本。

日本の探偵小説界の金字塔、江戸川乱歩と横溝正史。同時代を生きた、この二人の作家についての本格的な研究本じゃないでしょうか。

この本を読んで意外だったのが、個人的なイメージで江戸川乱歩の方が大胆不敵な性格で、横溝正史の方が繊細な性格、と思っていたのが、どうも逆だったのかな、と思った事。
乱歩の方が繊細で悩む場面が多い印象だったのに対して、正史の方が大胆というか頑固な一面があるように感じました。

また、意外と二人の間で交流もあったんだな、と。
正史が編集長として乱歩に小説を書かせたりと、乱歩が作家らしい作家だったのに対して、正史は作家であると同時にビジネス的な感覚も、持ち合わせていたように思えた。

ただ。
この本は研究本という事もあるのですが、かなり中身の文章が〝硬く〟、難しい言葉の言い回しや表現が多い。
私のような、作家のファン、主人公である探偵のファン、という程度で読むと、かなり辛い事になってしまう。

私の頭がバカなのは承知の事実として、

「何を言ってるのか(書いてるのか)、わからない」、という部分が多かった。

もう少し、エンターテイメント性があっても良かったのでは、と思う。
逆に、この本を読んで江戸川乱歩や横溝正史の本が読みたくなる、という気持ちになる人は、どれぐらいいるのだろうか、と。

江戸川乱歩や横溝正史の人物を掘り下げているようで、ひたすら難しい言い回しで、作家本人の周囲をぐるぐる回っている感じで、同じような事を言い換えて何度も書いていたり、作家本人の面白さは伝わってこなかった。

研究本だから、と言ってしまえば、これはこれで、そういうものなのかもしれませんが。

あと、個人的に金田一耕助ファンとしては、横溝正史のアレコレを知りたいなと思っていたのですけど、内容の大半が江戸川乱歩中心に書かれていて、横溝正史のアレコレは後半、全体で4分の一程度? ぐらいだったのも残念でした。

私には難し過ぎました。
だからといってレビュー評価を下げるのも、どうかと思ったのですが、普通に江戸川乱歩や横溝正史の探偵小説を読む方が、俄然楽しくなるのを考えると、このぐらいかなとなりました。

逆に、純粋に作家人として、時代背景も含めて多くの資料からまとめ上げられている研究本なので、なかなか文体や表現が難しいですが、1冊にまとめられてい貴重な本であるとも思います。

P.S.
余談ですが、金田一耕助最後の事件『病院坂の首縊りの家』の市川崑監督&石坂浩二コンビの映画版で、横溝正史ご本人が〝本人〟役で出演されています。予告編でも、一瞬、映ります。
さて、誰でしょうか?

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