森 博嗣
『クレィドゥ・ザ・スカイ (Cradle the Sky)』
(中公文庫)
元々は、押井守監督の『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』を観ていて、原作は小説と知っていたものの、それ以上アレコレと調べたりもしなかったのですが、妙に〝引っ掛かって〟いた作品だったので、「そういえば」と思い出して、今更なんですが原作の小説を読んでみようかなと思った次第。
発刊順ではなく、時系列順に読み進めています。
シリーズは短編集を含め全6巻、その4巻目『クレィドゥ・ザ・スカイ』(時系列順の4巻目)。
以下、ネタバレもあるかと思いますので、まだ読まれた事が無い方は、このへんで(笑)

物語の導入部は、特に森博嗣さんの世界観が現れる感じはするのですが、今回は導入部分を過ぎても、ずっと現実なのか妄想や空想の世界観なのか、地に足がついていないような感覚が最後まで続く感じで、これまでの3巻とは全く違う印象でした。かなり異質とも言えるかもしれない。
読み始めても、今回の主人公である〝僕〟が誰なのか、よくわかりません。
既に登場して来た人物なのか、それとも新しく登場した人物なのかさえ、よくわからない。
ただ、読み進めていくと、既に登場しているフーコとは知り合いで仲が良い事はわかるし、前巻で登場した重要な人物、相良とも合流するので、「あれ、クリタ・ジンロウなの?」と思いながら読み進めていく。
が、なんかしっくり来ない。
そもそもクリタなら、何も勿体ぶるように〝僕〟という表現をする必要も無いと思うしね。
とりあえず、〝僕〟=〝クリタ・ジンロウ〟という事で、途中から読み進めていくわけですが、後半になるにつれ、やっぱり腑に落ちないなあ、という気分になって来る。
気分になるだけで、だからといってクリタ・ジンロウ以外に思いつかない。
そして、色々と掴み損ねたまま、読み終えてしまった。。。
〝僕〟の夢?の中にだけ、草薙水素は出て来る。
だからよけいに、〝僕〟はクリタ・ジンロウと思ってしまうんですが。。。
前巻でキルドレや草薙水素の秘密を知る事になったクリタは、何やら陰謀めいた事に巻き込まれていく感じはしていたので、このクレィドゥ・ザ・スカイの後半で秘密の基地や組織? と合流したりしていくストーリーは前巻から繋がっている感じはしながらも、何か違うな、途切れているな、みたいな感覚が現れては消える、を繰り返す。
結局、なんだったんだろう、と。
他の方の考察的な記事を眺めると、あら、そういう解釈で見ると、なるほど、と。
このクレィドゥ・ザ・スカイは再読した方が良さげなストーリーだなぁ。
面白かったけど、これまでの展開とはあきらかに違うので、ちょっと、戸惑ってしまった。
でも、この話を挟んでの次は最後となる話になるので、この巻の世界観は押さえておかないとダメなんだろうね。
そういう意味では、シリーズ中で一番重要なのかもしれない。
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