日本一周一人旅アーカイブ 1992-1993 vol.14

日本一周一人旅アーカイブ

今から28年前。1992年〜1993年に掛けて、約2ヶ月間の駆け足で巡った日本一周一人旅を、当時の旅日記と残っていた資料、そして遠くなった記憶を頼りにアーカイブ化していきます。
ただ、さすがに記憶が曖昧なのと、28年前にもなるので、もう今は存在しない場所や建物、宿泊施設。また廃止された路線等もあるかと思います。また地図を載せている場合も、正確な移動ルート等を現していません。
アップしていく写真も、今から28年前のプリントをスマホで撮影しています。現在とは様子も変化している事でしょう。
このアーカイブ化していく情報は、全て28年前の情報となります。
当時の事を、旅日記をメインにして簡単にまとめて行きますが、もしかすると記憶違いな事を書いてしまう可能性がありますので、ご理解頂ければと思います。

1992年8月28日(金) / 晴れ のち 曇り

相部屋となった東京からの学生さんは、宗谷岬へ行くとの事で、朝早くに出発して行った。その後は、私と同じく礼文島に渡る予定らしい。
 
さて、私も宗谷岬へ行くつもりなんですけど、礼文島からの帰りの際で良いかと考えていたので、礼文島に渡るフェリーまでは、まだまだ時間がある。
荷物は旅館に置いたままで良いって話で、私は近場の野寒布岬(ノシャップ岬)へ行ってみる事にした。バスで15分ぐらいかな、で到着。
 
が、、、
 
なんとも寂しい場所、、、なんにも無い。。。
っていうか、風が強くて夏だけど寒い。。。

野寒布岬

この時、水族館があるのを知りませんでした。

こりゃ時間も潰せない、と思い、直ぐに稚内駅へ舞い戻る。
 
稚内の海側に、北防波堤ドームというのがあって、周囲に大きな建造物も無い中、凄く目立っていたので、ドームの下を歩いた。

旅館に戻ると、女将さんがお茶を出してくれて、世間話をしながらの一休み。
礼文島に渡るという事で、〝民宿 岬しれとこ〟という宿を紹介してくれた。向こうの港に着いたら、宿の人がいると思うから声を掛けてみて、との事。
 
そろそろフェリーの時間。
旅館を後にして、フェリー乗り場へ。
すると、朝に別れた旅館で相部屋だった学生さんと再会し、一緒にフェリーへ乗り込む。
 
二等船室、所謂ざこ寝船室。
まあ、別に寝る時間帯でもないしねー、、、と余裕こいていたら、これがけっこう揺れる揺れる。船酔いとまではいかないけれど、この状態で寝っ転がっても、あまり気分の良いものでは無かった。
 
稚内港を出発して約2時間、礼文島香深港に到着。地図上では近く見えるんですけど、けっこう掛かります。
 
いよいよ来ました。
初夏には海抜0メートル地帯から高山植物が咲き、人が住む有人島として日本最北端の島。
日本一周一人旅を思いついてコースを考えていた時、『礼文島には行きたい』と、唯一具体的に決めていた場所。
 
その昔、水谷豊さん主演ドラマ『熱中時代』がありましたが、小学生の頃に観ていて、北海道の「礼文島」っていうのが出てくるんですよ。映像として出てきた記憶は無いんですけど、台詞とかでね。それで妙に「れぶん」という響きが頭に残ってしまい、いつか礼文島に行ってみたいなぁ、と思うようになった。
 
そして、ついに礼文島に来た。
 
香深港で、稚内から一緒だった学生さんと別れて、早速〝民宿 岬しれとこ〟を探す。
すると、ノボリを見つけて、宿の人らしい男性に声を掛けてみた。
 
「稚内の旅館さいはてで教えてもらったのですけど、泊まれますか」
 
すると、
 
「相部屋になるけど、それでいい?」、って。
 
おお。
稚内に続いて、礼文島でも相部屋か!!
 
もちろんOKです。
とりあえず2泊させてもらうと伝えて、民宿の車に荷物を預けました。
 
すると、その男性の方が、、、
 
「これから泊まっていた人の見送りするんだけど、良かったら一緒に見送ってあげて」、と。
 
まあ、こういうのも何かのご縁、と思って、そのまましばらく港で待っていると、稚内港へ向けての乗船が始まった。
フェリーと港で見送りをしている人達の間には、色とりどりの紙テープが沢山と繋がっている。
あー、よく映画とか映像で見た風景だけど、実際に見るのは始めてでした。
私以外にも、同じ宿で泊まっているらしき人達が何人か見送りに来ていて、紙テープを持っている。
 
すると、宿の方が車から、何やら運び出して来た。
あれ、、、
 
ギターとトランペット。
 
何?
 
紙が配られると、そこには吉田拓郎さんの『落陽』の歌詞が。(少し替え歌になっている)
 
何?
 
すると宿の人が、いきなりギターを弾き始め、見送りに来ていた人達が歌い出した。
 
えー?!?!
何?!?!
 
周囲を見ると、応援団のような団体?が、統率の取れた動きで何かやってる。
 
後から知りましたが、この団体?は、桃岩ユースホステルの人達でした。
 
だから、何???
 
目が点になって呆然としている私をよそに、フェリーが岸壁を離れ始めて、紙テープが次々と切れていく。
 
すると、ギターからトランベットに持ち替えて、北の国からのテーマ曲が。。。 
そして、離れゆくフェリーを追いかけて見送る人達。。。
 
ここは何処???
 
「えっ」?!と思ったまま、硬直している私に、別の男性が声を掛けて来ました。
 
「これからどうします? 直ぐに宿へ行きますか?」、と。
 
 
あ、えーと。
我に返って(爆)、、、
 
まだ昼過ぎだし、昼御飯もまだです。
 
そこで昼御飯のお店を教えてもらい、まだ時間があるから歩いて宿まで来たら、と礼文島〝2時間コース〟を教えてもらう。

現在は〝桃岩展望台コース〟として紹介されています。

さっきの見送りはなんだったんだろう(笑)、と思いつつ、教えてもらった港近くの食堂へ。
ちゃんちゃん焼きを食べました、美味しい!!
 
そこから街中を抜けて、山側の方へ。そして遊歩道に入っていきます。
とにかく、ずっと登りが続いて、とてもしんどい。。。
ほぼ海抜ゼロメートルからの登りなので、なかなかのものです。
 
登りも、そろそろいい加減にして欲しい、なんて思っていたら、突然視界が開けて、凄く高い場所から礼文島の青々した斜面と巨岩、その先の海が見える展望台に出た。
 
思わず、「うわっ」って声が出た。
 
そこは、桃岩展望台
なんか日本じゃないみたい。

逆光で真っ暗、、、桃岩展望台から撮影

海から桃岩の間を抜けて、強い風が体にぶつかってくる。
なんていうのかな、、、海の向こうからナウシカがメーヴェに乗って飛んで来ても不思議じゃないような、そんな世界観なんですよ。
 
すっごい綺麗、そして圧倒される。
礼文島、凄い。
 
しばらく桃岩展望台でのんびりしていたら、なんと反対側から香深港で別れた、稚内から一緒だった学生さんと再会(笑)
 
桃岩展望台からは崖沿いの細い道を歩く、もちろん柵も何も無い(笑)
ちょっと道を外れて崖側に行くと、なかなか危ない感じ。。。

まるで高原のような風景だけど最北の島

現在は遊歩道に柵が設けられているようです。

まるで高原の中の一本道のようなところを歩いていく。標高こそ海抜250mぐらいだけど、なんせ日本最北の島。夏の終わりとはいえ、まだまだ高山植物が咲いていて綺麗。
 
丘を登っては、ちょっと崖っぷちまで行って下を観てクラクラしたりしながら(笑)、しばらく歩くと灯台が見えて来た。
 
元地灯台
利尻島も見えて、眼下に広がる海が広い。

元地灯台

灯台の先にも道があって、幅が1mちょっとで両側が断崖、、、怖い。。。

日記にはこう書いているのですが、実際にどの道の事を指しているのか、現在の情報で調べても、それらしき道は有るのか、わかりませんでした。

元地灯台からは下りばかりで、歩くペースも早まります。
自分の腰ぐらいまで草?が生えてる中に出来ている一本道を歩いて、外周道路まで出て来た。目の前は海だ。

2時間コースも終わりに近付く

そこから少し歩いた所に、〝民宿 岬しれとこ〟があった。
 
宿に到着すると、港でギターやトランペットを奏でていた人が、ギターの練習をしていた。
そう、この方が宿主、みんなからは「大将」と呼ばれていた。
 
そして奥さんの「女将さん」(確か、同じくみんなからアダ名で呼ばれていたと記憶しているのですが、なんと呼ばれていたのか忘れてしまった、、、)と、おばあちゃんにご挨拶。
まだ小さなお子さん達も。
 
港で昼御飯のお店や2時間コースを教えてくれたのは、ヘルパーで入られてる、堀さんという方でした。なんでも東京在住で、ハーレーで日本一周を始めて、ここ礼文島の岬しれとこが気に入ってしまい、宿泊客からそのままヘルパーになってしまったらしい(笑)
 
取り急ぎ風呂に入って、晩御飯。
宿泊客のみんなで、準備も手伝う。
宿泊客と大将の家族揃って、全員での晩御飯。
 
とても旅行の宿泊先での晩御飯って感じじゃなくて、久しぶりに親戚同士が集まった晩御飯みたいな、そんな雰囲気が面白い。
10人ちょっとぐらい、いたかな。
 
晩御飯も済んで一息ついたところで、道を挟んだ反対側にある〝離れ〟に集まるそうなので、私も行ってみる事にしました。
 
元々は漁師小屋だったのかな、という小屋の2階に宿泊客が集まってくる。
もちろん、強制じゃないよ。
来たい人だけ。
 
大将はギターを持って来た。
 
部屋いっぱい円になるように座って、自己紹介が始まった。
 
なるほどなるほど、こういうのもホント、ご縁ですからね。
たまたま旅先で一緒になった、という。
 
ただ、この自己紹介が曲者なんです(笑)
 
自己紹介する内容を、まず決める。
例えば名前と住んでる場所と、趣味とか。幾つか自己紹介で言う内容を決める。
 
で、自分の自己紹介をする前に、それまで自己紹介をした人の内容を全て暗記しておいて言わなくちゃいけない(爆)
ほぼ、罰ゲーム並みの自己紹介がスタート(笑)
 
なのでトップバッターが一番楽なんです。
まずは全員でジャンケンをしてトップバッターを決める。
トップバッターの左右の人がジャンケンして、時計回りか反時計回りか、決める。
最後の人は全員の自己紹介内容を暗記しておかなくてはいけない。
 
無理ゲーですw
 
そんなわけなので、ご本人や周囲からヒントが出たりして、思い出しながらワイワイ全員で自己紹介して、そこからは自由タイム。
お互いに情報交換したり世間話をしたり、大将がギターを弾いて歌ったり。
 
明日、8時間コース(礼文島最長トレッキングコースで、今日歩いた2時間コースと合わせると、礼文島を徒歩で縦断した距離になる)を歩く人達がいるという事で、途中から大将が8時間コースの説明をしてくれた。
当初、歩く事なんて考えてなかったのですけど、大将から「一緒に歩いてくれば」と言われて、軽い気持ちでOKするも、これがかなり過酷なトレッキングになるとは。。。
 
楽しい時間も、あっという間に過ぎて行きます。
そろそろ寝る時間、明日は8時間コース踏破という事で朝も早い。
 
部屋に戻って寝る準備。
準備といっても、部屋には5,6人の布団と荷物があるぐらいで、テレビも何も無い。
 
たまたま偶然居合わせた人達との相部屋。
これもまた、一人旅だったからこその体験なのだろう。
 
明日は礼文島縦断、8時間コース踏破だ。

〝離れ〟にて。寝そべっているのがヘルパーの堀さん。そして、うにょを探せ。

移動距離 : 約77km
稚内駅 〜 野寒布岬(ノシャップ岬) 〜 礼文島 〜 桃岩展望台 〜 元地灯台 〜 知床

礼文島・2時間コース(桃岩展望台コース)

Google Map上で2時間コース(桃岩展望台コース)のルート再現が不可能な為、礼文島観光協会ホームページよりPDF(注意:PDF直リンク)の一部を画像化して掲載しました。

注意 : Googleマップ仕様の関係上、下車等せず通過した地点も記載したルートになっています。また、当時の正確な移動ルートを再現しているものでもありません。〝大凡〟のルートになります。


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