A100でシンセ・ベース


RMS関西スクール、夏の発表会用に作っている曲で、シンセ・ベースにA100アナログ・モジュラー・シンセサイザーを使用しています。上の写真は、A100で作ったシンセ・ベース時のパッチング図です。
なーんか、ややこしい図になっていますが、シンセサイザーのスペックで言うと、、、
「3VCO、1VCF、2VCA、3EG、1LFO」という、とてもシンプルなシンセサイザーの構造をしています。
ただ、モジュラーということで、シンセサイザーの機能を全て1つ1つのモジュールにバラしている状態から、ケーブルでパッチング(結線)していく事で、シンプルな構成でも複雑な音作りを可能としていたりします。ある程度のルールを守ってパッチングしないと、音すら出てくれませんが、時にはルール違反するようなパッチングから、予想もしない音が出て来る事もあり、シンセサイザー本来の「音作り」の醍醐味を堪能できる、モジュラー・シンセサイザーはそういうものなのです。


まず、音の基礎部分「基本波形」を出力するモジュールは、、、
A-110 Standard VCO (1基)
A-111 High End. VCO (2基)
、、、の計3基のモジュールが担当しています。A-111の2基は同じノコギリ波を使って、上段左側のA-138b Mixerモジュールでミックスしてから、更に隣のA-120 24db LowPass Filterに送っています。A-120はオーソドックスなMoogタイプのフィルターです。今回はMoogっぽい音をイメージしていたので、変なフィルター・モジュールは使用していません(笑)、、、ちなみにA-111にHigh End.と付いているのは、A-110よりピッチが安定するようなチップが搭載されているからです(そのぶんA-110より値段が高いのですが、それほどのピッチの安定感はありません)。
A-110からはサイン波を1オクターブ下にして出力させて、ダイレクトにA-131 VCAモジュールにパッチングしています。耳には聴こえにくいけど、低音のボトム感を出すのに使用してみました。
A-120 24db LowPass Filter (1基)
これはMoogシンセサイザーが搭載していたローパス・フィルターを復刻したモジュールです。任意に高音域をカットして、音を暗くしていく(音を丸くしていく)感じに使用できます。また強烈なレゾナンスも搭載していてシンセサイザーらしい「きゅぃぃぃーん」とか「みょょょょーん」という音も、ここで作り出されます。
A-140 ADSRとA-145 LFO1からのモジュレーション信号(Gate & CV)を受けるようパッチングしてあるため、鍵盤を押さえるごとに音色変化が発生するようにしています。
A-131 VCA (2基)
アンプ・モジュールです。ここで音の全体の形を作っています。各A-131共に、A-140 ADSRからのGate信号を受けるようパッチングしています。これで鍵盤を押さえるたびに、A-131のアンプ機能が立ち上がるようになっています。
もし、Gate信号が無い状態だとA-131は立ち上がったままになり、音が鳴りっぱなしになってしまいます。
A-138b Mixer (2基)
4chのミキサー・モジュールです。主にAudio信号のミックスに使用しています。
A-140 ADSR (3基)
EG、所謂、エンべローブを作り出すモジュールです。Gate信号のONを受けると1回、A-140が立ち上がります。これを利用して、鍵盤の押さえ始めた瞬間から鍵盤を放すまでの間、どのようなコントロールをするかを作り出す事が出来ます。今回、A-140を3基使用しているので、1基をA-120にパッチングして音色変化を。残り2基は、それぞれのA-131にパッチングして音量変化を付けています。
A-145 LFO 1
耳に聴こえない、とても低い周波数を発生させるVCOです。それをVCOとは別に、LFOと呼んでいます。規則正しい信号を出すモジュールで、VCOと同じような基本波形を持っています。耳に聴こえないので、LFOの信号は他のモジュールを変調させたい時に便利です。今回は、A-120にパッチングしてあり、ゆったりしたスィープでフィルターの変調をさせています。
A-180 Multiples 1 (2基)
同じミニ・ジャックが縦に8つ並んでいるだけのシンプルなモジュール。これは、信号が入力されると、それら全てを均等にミックスして、残りのソケットから分配して出力する機能を持っています。単純に1つの信号で複数のモジュールを操りたい時に使用する事が多いです。今回は2基使用していて、それぞれピッチ用CV信号とGate信号をA-180で必要なぶんだけ分配しています。
A-181 Multiples 2
機能はA-180と同じなのですが、下段はステレオ・フォーン・ジャックに対応しています。上段を利用して、単純にミニ・プラグからフォーン・プラグの変換に使用しています。ここをA100全体の最終アウトプットにしていて、この先に外部のミキサーに繋がっています。
A-190 MIDI-to-CV / Gate / Sync Interface
外部からのMIDI信号を、CVとGateに変換してくれるモジュールです。
とりあえず、今回のシンセ・ベースに使用したモジュールの簡単な解説です。
同じ機能を2つ以上使いたい場合は、その機能を持つモジュールを複数用意する必要があるわけで、そういう意味ではデジタル・シンセサイザーよりメンドクサイ部分ですが、同じモジュールを2つ揃えると、そこから出来ることって3倍にも4倍にもなるのがモジュラーの面白いところなので、やはり「音作り」の自由度はケタ違いに幅広いです。
使用にあたって、3,4時間ほど電源を入れてから使用したのですが、各VCO(A-110 & A-111)自体にピッチのズレがあり、そこで少し苦労しましたねぇ(笑)、、、同じA-111同士を目測で同じセットにしても、かなりピッチが違うんですよ(笑)、、、メモリー機能なんて無いですから、目測でノブの目盛りを観るしかない。ノブも凄く曖昧ですから、同じ「5」でも片方は「4.5」だったりする(笑)
モジュールの画面を観てもらっても分かりますが、だいたい「ドレミファ〜」っつう概念が無い。出力と受ける電圧を上げ下げするノブしかないわけだから、あとは自分の耳を頼るしかない、、、という。元はMIDIデータという、厳密なデジタル情報なのにね(笑)
まぁ、オーケストラでも他人同士が同じ楽器を演奏しても、ピッタリと機械のようにピッチなんて合わないですよね。微妙な「ゆらぎ」があって、それが音の厚みを感じる要素になっているはず。
そういう意味では、昔のアナログ・シンセサイザーが「太い音がする」と言われる1つの要素に、ピッチの不安定さがあったんだと思います。
うちのA100は完全なアナログで、さらにモジュラーという仕様ですが、、、一度、安定してしまえば普通の音楽で使う範囲では気にならないとは思うのですが、本当に昔のアナログ・シンセサイザーって、演奏中でさえリアルタイムでピッチ合わせをしながらプレイしていたんですよね。
別の意味で、凄いワザが必要だったんだろうな、と(^^;;

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