Hardfloor / TB Resuscitation

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思うのだけど、ヨーロッパって世界は絵画にしろ音楽にしろ、とても多彩な文化と人物を育んで来たじゃないですか。テクノって音楽も、実験音楽という世界から一般音楽に押し上げた「Kraftwerk」というバンドもドイツ生まれ。
クラシック音楽の巨匠と呼ばれる多くの作曲家も、ヨーロッパで多彩な才能を発揮していたし、生まれの国ならではの個性というか音が出ていると思うんですよ。モーツァルトとベートーベンみたいに両極端というか。
この「Hardfloor」というユニット、オリヴァー・ボンツィオとラモン・ツェンカーというドイツ人二人による凸凹コンビからなるユニット。お互いの身長差って頭一つぐらいはあったと思う(^^;;
1993年ぐらいだったかなぁ、ドイツのレーベルから出ていた12inchシングルHardfloor / HARDTRANCE ACPERIENCEを耳にする機会があって、、、
「なんだ、これは?!」
、、、と(笑)
正直、ビックラこきました(死語)。


なんともいえない、ネバッこいBassラインが淡々と続く中、パンチのある4つ打ちキックが延々と続く、次第に言葉ではなかなか表現し難い「ブギューブギュー」という音が被いかぶさって来る。この状態でイントロ3分も引っ張っていき、最後は16分音符のスネアドラムの連打で本編が始まる。本編が始まると更に、「ウニョ〜ビニュゥ〜」という言葉では表現できない音が洪水のように押し寄せて来る。。。
「なんだなんだ、これは?!」
こんな音と曲の構成、今まで聴いたこと無い。
間もなくして今回、紹介するHardfloorの1st.アルバムであり、日本のシンセサイザー製造メーカー・Roland社も巻き込む、シンセサイザー・アシッド・ブームの火付け役となる、あの「TB Resuscitation」が発表される。
真ッ黄色のジャケットに、シンプルな“HARDFLOOR”と“TB RESUSCITATION”とタイプされた文字。
CDを再生すると、あのネバッこいBass、強固な音圧で迫るリズムトラック、言葉では表現できないシンセ音。全曲がこんな構成であり、徹底的に聴く人の脳味噌をグデングデンに引きずり回し、気が付くと体の奥底から動き出さずにはいられない、そんなサウンドのオンパレードなアルバムでした。
「凄い、、、なんだ、これは?!」
「TB Resuscitation」、直訳すると“TBの復活”?、“TBの蘇生”?
ジャケット裏には、Hardfloorからのメッセージがタイプされている。
「RolandのTB-303開発者に捧げる」
TB-303???
なんだ? TB-303ってなんだ?
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Roland TB-303解説
このRolandが1982年に作ったBass専用というシンセサイザー、TB-303。
しかし、とてもBassとしては役不足で(当時もシンセベースといえば、MiniMoogでしたからね)、操作も複雑だった事もあって、音的にも使えないというレッテルの下、あまりヒット商品とはならず、人知れず消えていったシンセサイザーでした。
Hardfloorが1st.アルバムを出した1993当時、TB-303の中古価格って1万円は切っていたように思う。
はっきり言って「誰も買わない」シンセサイザーでした。
それが、このアルバムに登場する、あの“ネバッこいBassライン”や“言葉では表現できないウニョウニョした音”の全てが、たった1機種、Roland TB-303だけで作られていた事が広まると事態が一変する(^^;;
TB-303の中古価格は発売当時の2〜3倍まで跳ね上がり、海外のベンチャー系メーカーもTB-303のクローン・シンセサイザーを多数発表し、そして本家Rolandも再びMC-303という名前で“303”を復活させる事にまでなってしまった。
時を同じくしたアナログ・シンセサイザー・ブームと相まって、TB-303人気が高まる。
「失敗した製品」とも言えなくもないTB-303が、発売から10年の時を超えて大ブレイク。
今ではTB-303クローン・シンセサイザーは、多くのソフトウェア・シンセサイザーとなって溢れています。
そんな、テクノという音楽ジャンルだけではなく、シンセサイザー業界に多大な影響を与えた、Hardfloorと「TB Resuscitation」。
Rolandの定番リズムマシン、TR-909の迫力あるトラックの上で最大4台のTB-303が縦横無尽に駆け巡り、16分音符のスネア連打は、「ハードフロア節」という定番サウンドになる。
富士山のRAINBOW2000のLIVE以外でも、大阪・梅田のKARMAに来日した時にも遊びに行った。自分にとって、曲作りとか音作りに凄く影響されたアーティストです。
やっぱり、プリセットでボタンを押して音を奏でているだけでは、シンセサイザーを使ってる意味って無いんですよね。
初めてHardfloorを聴いてみたいという方は、ベスト・アルバム「THE BEST of HARDFLOOR」が出ているので、そちらがお薦めです。
>>Sony MusicのHardfloor特集ページ
※RealAudioで曲が聴けたり、インタビューもあったりします。
※RAINBOW2000のLIVE、懐かしいなぁ。富士山で大雨の中、踊ったなぁ(^^;;
>>Hardfloorオフィシャルサイト
※色々な曲のMP3も聴けますよ。
P.S.
Hardfloorが初来日した際、わざわざ浜松のRoland工場までTB-303開発者を尋ねに行っている。
P.S.
ちなみに内輪話ですが、Matsuken Samba時に使っているベースは、TB-303クローンの1つである、MAB-303というシンセサイザーで音作りしていたりします。

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