竹内洋岳 『下山の哲学』

5.0
Book

竹内洋岳
下山の哲学

(太郎次郎社エディタス)

〝14 Summiter〟
世界屈指の登山家への称号ともいえる、『14サミッター』。
日本人初の14サミッターとなった、プロ登山家・竹内洋岳著書、8,000m峰全14座の《下山》ドキュメント。

世界最高峰の山は、ご存知エベレスト。標高は8,848m。
人間が歩いて到達できる、地球上で最も高い場所。
そんなエベレストを筆頭にして、標高8,000mを超える山は、世界に14座
 
その全ての頂に到達した登山家、 即ち〝14 Summiter〟。
1950年に人類が初めて8,000mの山の頂に到達してから、現在までの70年間で、三十数名ほど(頂上まで到達したか議論になっている登山家もいるそう)の登山家しか成し遂げていない、まさに偉業。
 
標高8,000mを超える世界は『デスゾーン』と呼ばれ、時には氷点下-40度以下の世界。酸素も平地の3分の1程度になるそうで、無酸素登山(酸素ボンベを使用しない登山)では、そこにいているだけでも命の危険が高く、たとえ酸素ボンベを使用していても長時間の滞在は、命のリスクが高くなる、、、死の世界。
8,000mを超えると、そもそも体が〝高度順応〟していかないそうで、時間との勝負になる。
 
そんな極限の8,000m峰14座を振り返って1冊にまとめたのが、この『下山の哲学』。
そして、タイトルにある〝下山〟について書かれた本。
 
あれ?、って思う。
登山家や冒険家の本、ドキュメンタリー等のTV番組とか、だいたい《準備〜挑戦〜失敗〜再挑戦〜達成》みたいな感じでストーリーが流れると思うんですけど、こと登山の話だと、やはり頂上に立つ、というのが一番のクライマックスだと思うのに、それも世界に14座しかない8,000m峰を全て登った人の本なのに、なぜかメインテーマが《下山》なのです。
準備をして苦労して登り詰めた頂上、、、から〝その後〟の話なのです。
 
冒頭、どうしてテーマが《下山》なのか、書かれています。
 
8,000mを超える世界は、とても危険です。
その中でも、最も危険な場所が〝頂上〟です。
頂上を目指して登っていると同時に、最も危険な場所にも向かっている事になります。
 
頂上に到達した嬉しさの次に、「早く、この場から離れたい」と思うそうです。
頂上まで登る為に、体力や気力をすり減らして来て、更に下山が待っています。
十分に安全と思われる場所(〝ベースキャンプ〟と呼ばれている地点)まで、時には高所で1,2泊の行程で下山する事にもなります。
体力も気力も使い果たし、時には十分な食料や水も残っていないかもしれません。
ベースキャンプからは数日間の行程、その間に天候も激変するかもしれません。
 
いざ下山開始となると、少しでも標高を下げたい、少しでも安全な場所を目指したい、そんな中で下山時の記録などを取っている余裕が無い。
 
今まであまり語られてこなかった、山からの《下山》について、竹内さんがどんな状態にあって、何を考えて下山していたのか。
 
そして登山にとって、最も重要な事。
無事に下山し、ベースキャンプまで戻ってくる事。
決して山の頂上がゴールでは無く、生きて無事に下山する事。
 
そして無事に下山出来たからこそ、次の1座が待っている。
 
プロ登山家・竹内洋岳さんが体験した、8,000mのデスゾーン14座からの帰還本なのです。


11月13,14日と『下山の哲学』のサイン会が、石井スポーツ・リンクス梅田店であって、こっそり行ってきました(笑)
今まで誰かのファンになるとか、そういう理由でライブとかイベントに行った事もなく、所謂“ミーハー”的な気持ちになった事が無いのですが、今回はちょっとミーハー気分で行ってきました(笑)
「色紙以外なら、何にでもサインします。意表を突くもの待ってます」という竹内さんの挑戦状があったので(笑)、本とは別にmoogerfooger MIDI MuRFを持参(爆)
 
石井スポーツのスタッフさん(もしかしたら竹内さんの方のスタッフさんだったかも)が、「これ、ミキサーですか」って聞かれて、おぉっ、て思って「エフェクターなんですよ」って話から始まってw
別のスタッフの方が、「これ写真、撮っていいですか」って言われて、謎の展開に。
なんでも、昨日は招き猫を持参された方がいたそうですwww
 
竹内さんとも、少しお話が出来て良かった。
今年、松浦輝夫さんと植村直己さんが日本人初の世界最高峰エベレスト登頂から50周年のタイミングで、竹内さんも、植村さんらが登頂した同日にエベレストを目指す計画だったものの、新型コロナウィルスの影響で断念。その変わり“妄想”でエベレスト登頂を目指すという企画をされてたのですが、私も30年前に植村直己さんの事を色々と知る事になって、著書を読んで影響されて、日本一周に繋がったので、色々と感じるところがあります。
そんな話を少し、させてもらいました。
妄想エベレストの報告会もオンラインで企画されてるそうなので、楽しみです。
いあ、あくまで“妄想”なんですよwww
 
登山家としてストイックな側面はあると思うのですが、同時にとてもユーモア溢れる方だなぁ、という。
これからのご活躍も楽しみです。
気さくにお話し頂いて、ありがとうございました。

ちなみにワテクシ、ほぼ登山経験ゼロです(笑)

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