モジュラー入門・第一回目「とりあえず音を出してみよう」

モジュラーシンセ

とにもかくにも、音を出してみないと話が始まりませんね(笑)
ここで一つ小話。モジュラー・シンセサイザー(以下、モジュラー)は沢山のケーブルでパッチング(ケーブルを接続していく作業)していく事で、信号の流れが生まれて音が発生します。その信号には色々な呼び名があります。
「CV(コントロールド・ヴォルテージの略)」とか「Gate(ゲート)」とか「Trig(トリガー)」とか「Clock(クロック)」とか、色々と出て来ます。で、それぞれが違う信号なのかというと、実はどれも同じ信号なんです。
「なんで同じ信号なのに、色々と呼び名が変わるんだ、まぎらわしい!!」(笑)
、、、という話になりますね。
この呼び名は、その同じ信号の“使い道”によって呼び名を変えているんですね。なので、これから「この“呼び名”の時には、そういう目的で信号を使ってるんだな」と分ってくると思います。
モジュラーで、唯一、区別される信号は2種類。
「耳に聴こえる」信号(普通の音としてスピーカーから出るもの)と、「耳に聴こえない」信号です。
でも、この2種類でさえ、モジュラーで音作りしている最中は、その違いはありません。
最終的に「耳に聴こえない」信号をスピーカーに入力しても、そりゃ音は聴こえませんよね(笑)、、、最終的には「耳に聴こえる」信号をスピーカーに入力する、、、モジュラーで音作りする時、とりあえずは「耳に聴こえる」信号をスピーカーに入力する、、、これだけを守ればなんとかなります(^^:


 (図1)
図1を見て下さい。ハイ、これだけで音は出ます。終了です(笑)。
A-110 Standard VCOというモジュール1基だけです。特に、このモジュール名で“VCO”という部分に注目です。
これはヴォルテージ・コントロールド・オシレーターの略になります。“ヴォルテージ・コントロールド”は、最初の小話で登場したCV“コントロールド・ヴォルテージ”と同じで、順序が逆になっているだけです。“ヴォルテージ・コントロールド”(以下、CVまたはVC)は、電圧で制御する、、、という具合の意味です。簡単に言ってしまえば、CVとかVCとか付いていたら「あ、これはアナログ機器だな」と思ってもらえばいいのかな、、、と(^^;;、、、なので、モジュラーで音作りする時の基本的な信号の呼び方だと思っておいて下さい。
さて、その後ろの文字“O”です。これはオシレーターの略です。オシレーターは「耳に聴こえる」信号を出すモジュールという感じで覚えておきましょう。どんなに膨大なモジュール群の巨大モジュラー・システムを目の前にしても、このオシレーターというモジュールさえ発見できれば(笑)、図1と同様のパッチングで音を出す事が可能になります。
A-110の一番下に、何やら記号めいた図形が4つ並んでいるのが分かりますね。左から順に「ノコギリ波(Saw)」、「矩形波(Pulse)」、「三角波(Triangle)」、「サイン波(Sine)」と呼ばれています。大体、図形の形が、そのまま名前になっている感じがするでしょう?この4つの波形が、特にアナログ・シンセサイザーの基本波形、基本の音になります。
図1では、一番右端のサイン波を出力している事が分かりますね。では、他の3波形も同じようにパッチングして、音を聴き比べてみて下さい。♪ポーとか♪ブーとか♪ビーとか、波形によって音色が違うと思います。
更に矩形波を出力している時に、下から2つ目のツマミ(PWと書いてありますね)を左右に動かしてみて下さい。これまた音色が変化したと思います。一番右に回すと音が消えたと思います。これは矩形波独特の変化を作り出す機能で、“パルス・ワイズ・モジュレーション(PWM)”と呼ばれています。
一番上のツマミ(Range)を動かすとオクターブが上下し、その下のツマミ(Tune)を動かすと微妙な音程変化があると思います。また、CV2とPW CV2と書かれたツマミは、動かしても何も変化が起こらない事がわかります。これは別のモジュールが信号を貰って(パッチングですね)コントロールする時に使用しますので、後々、使う事になるので今は無視しておいて下さい。
さてさて、これで音は出ました、簡単でしょう?(笑)
 (図2)
これだけでは、もちろんツマラナイので、最後に図2を紹介。
図1ではオシレーターから波形を直接、スピーカー等に繋いで音を出してみました。そのスピーカー等に接続していたケーブルを一旦抜いて、新たに用意したA-120 VCF 1(Low Pass Filter)モジュールの“Audio In”にパッチングして、同A-120モジュールの“Audio Out”からスピーカー等に接続する感じにしてみましょう。図1から使用するケーブルが1本増えましたね(笑)、、、さあ、これでA-120の一番上の“Frq.(フリケンシー)”と一番下の“Res.(レゾナンス)”と書かれたツマミを、グリグリと動かしてみて下さい。劇的に音色が変化したと思います。A-110の4つの波形で色々と試してみて下さい。
“Frq.(フリケンシー)”は、CutOffという文字が先頭に付いてカットオフ・フリケンシーと呼ばれる場合もあります。
“Res.(レゾナンス)”は、Qという一文字で略される場合もあります。
A-120のVCFとは、、、VCは上記と同じ事ですが“F”はフィルターの事です。どんなフィルター?、、、というのが次の“Low Pass Filter”になります。LowをPassするFilterです(^^;;、、、高音域をカットして低音域を通過させる働きを持つフィルターです。どの辺りの高音域からカットするかという部分を“Frq.”ツマミで調整します。そして独特なのが“Res.”ツマミです。これは、“Frq.”で高音域をカットした部分の先端だけをピンポイントで、逆に持ち上げる働きをしています。“Frq.”だけを動かすと、音が明るい音からこもった暗い音に変化するだけですが、そこに“Res.”を加える事で、急激な変化が発生して、♪ミョンとか♪ピュンなんていう独特の効果を付ける事が出来ます。
CV2やCV3のツマミは、動かしても変化が無いと思います。これもやはり、他のモジュールからパッチングされた信号を使う時に使用するものです。
余談ですが、、、スピーカーのボリュームを凄く小さくしてから(←ここ、とても重要です!!、、、必ずボリュームを下げておいて下さい!!)、A-110からのケーブルを抜いて、A-120の“Audio Out”からスピーカー等に接続するだけのセットにして、この“Frq.”と“Res.”を動かしてみて下さい。どうです、音が出ませんか?、、、それも、けっこう強烈な♪ピーッ!!って感じで。これは「フィルター発振」と呼ばれる現象で、本来ならフィルターのモジュール単体では「耳に聞こえる」信号を作り出せないのですが、この「フィルター発振」を使えば、フィルターもオシレーターになってしまうという現象です。ただ、あまりにも強烈な音が出る場合がほとんどなので、通常の音量のままで「フィルター発振」させてしまうと、スピーカー等のAudio機器を破損させてしまう場合もあるので、注意が必要です。
「フィルター発振」をどう使うかは、、、それはアイディア次第ですかね(^^;;
P.S.
A-120からどうやっても音が出ない場合、A-120の“Audio In”の横にあるLev.というツマミがゼロになってませんか?これを上げないと“Audio In”からの入った信号が通らないですよ。

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