シンセサイザーの原点と未来

以前、implant4さんに寄ったら、シンセサイザー工房(株)REON社から発売予定の国産アナログシンセサイザー「Legend (仮)」のプロトタイプ1があって、早速、遊んでみました。
正式な製品名は「Drift Box」シリーズとして発売予定です。
いよいよ明日から開催の、シンセサイザーフェスタ2008に出展予定との事です。

※YouTubeに映っているものはプロトタイプで、デザイン・機能・名称等、予告なく変更される場合があります。
片手で持てる、ちょうどVHSビデオのサイズに近い大きさで、完全なアナログ仕様。
特にVCFには、プロフェット5と同じチップを採用している。
もちろん、MIDI端子なんて付いてません。
当たり前ですが、各設定のメモリー機能もありません。
本物のアナログ・シンセサイザーです。
「今どき、MIDI端子が無くて、どうやって同期させるの?」
「鍵盤は?」
REON社は、とある方が個人で立ち上げたシンセサイザー・メーカーです。
2007年のシンセサイザーフェスタで、公の場に初お目見えとなった、あのタンスの製作者です。
この小型アナログ・シンセサイザー。
特に現在発売されている国産のシンセサイザーや、そのメーカーに対して、「アンチ」の気持ちが強く込められているように感じています。
この製作者の方とは、色々とお話をさせてもらっていますし、こちらからも色々なアイディアを話したりしました。
そこから私が、この小型アナログ・シンセサイザーを触って感じた事を書いてみます。


※私の個人的感想であり、製作者の意図とは関係が無い事、、、ここは最初に御理解しておいて下さい。
、、、というか、ただの愚痴になってます(笑)
戯言程度に軽くスルーしてやって下さい。
まず、シンセサイザーとして。
「鍵盤って、必要なのか」
これです。
答えはもちろん、「そんなもの、イラね〜」です(笑)
たぶん、一番必要ないというか、邪魔なのが鍵盤、、、極論ですが。
シンセサイザーを、シンセサイザーとして使うなら、まずは鍵盤を忘れるところがスタートラインです。
どうしても鍵盤を弾きたいなら、ピアノやオルガンをやるべきです。
シンセサイザーの鍵盤は、所詮、電気のON/OFFスイッチにすぎません。
「ピアノタッチだのハンマーがどうの、全鍵サンプリングの○○レイヤーだの」
なんて宣伝文句がありますが、本物の弦をハンマーで叩いて鳴るピアノの表現力の足下にも及びません。
それに。
そもそもシンセサイザーに鍵盤を付けたのは、手っ取り早いコントローラーだったからにすぎません。
シンセサイザーを「鍵盤楽器」にしようなんていう意図は、そもそも何処にもありません。
この小型アナログ・シンセサイザー、ツマミが幾つかと、幾つかの入出力しかありません。
しかしながら、これらを色々と触っていくうちに、この小さな箱から出ているとは思えないほどの、アグレッシブで分厚いサウンドが飛び出して来ます。
ツマミをどんどん触ってみる。
まるで、そのツマミに粘り着くように、音の変化が追随して来ます。
そして、入出力の端子に、どんな音でもいいのです。
自分の好きな曲をCDからでも、なんでもOK。
入力してみます。
その入力された信号に、また反応して音が変化して行きます。
このような行為「そのもの」が、シンセサイザーの演奏であり、パフォーマンスだと思うのです。
そもそも、「鍵盤」って西洋音楽の話でしょう。
五線譜や12音階も、そう。
でも、世界には多種多様な音楽がある。
私の妻の妹さんは尺八の演奏家として活動していますが、中国から日本に伝わって進化した楽器ですから、楽譜が漢文なんですよ。もちろん縦書き。
耳コピーすれば、確かに西洋の12音階に割り振る事は可能なのでしょうが、そもそも、尺八にしろ琴にしろ琵琶にしろ、12音階の楽器じゃないわけですよ。
だから五線譜に音符を並べても、本来の尺八の演奏にはならない。
土台から違うんだから。
テルミン演奏家の生方さんは、「48音階」という独特の演奏方法を表現されていた。
48音階なんて、もちろん五線譜に表現できません。
シンセサイザーって、その最初は「電気」を「音」に変えようって発想でしょう。
原点は、そこだと思うんですよ。
鍵盤とか音階とか、そういう世界にとらわれていては、ドレミファソラシドだけで終わってしまう。
この小型アナログ・シンセサイザー、、、そんな原点を改めて示している。
と、同時に、「こんなに原点が躍動感があって面白いものか」と感じさせてくれる。
シンセサイザーが、ドレミファの一般楽器になってしまった今、日本のシンセサイザー・メーカーも、その範囲で成立するシンセサイザーしか製造していない。
買って来て電源いれて、直ぐにドレミファって音が出ないようなシンセサイザー、まず日本のメーカーは、もう作らないでしょうね(笑)
でも海外だと、「ドレミファって何ですか?」みたいなシンセサイザーを作ってるメーカー、沢山あるんですよ。私が使っているモジュラーのDoepferも、そう。
なんていうのかな。
中身がアナログだとかデジタルだとか、そんなのは、どうでも良いと思ってるんですよね。
アナログが古い仕様で、デジタルが新しい仕様、、、とかも思いません。
これは、トランペットとギタ−を比べているようなものです。どちらも、それで成立している楽器でしょう。
アナログ・シンセサイザーには、他のデジタル・シンセサイザーやソフトウェア・シンセサイザーに無い良さがあります。
デジタル・シンセサイザーにも、他の仕様には無い良さがあります。
必要な時に、必要な道具を使えばいいだけです。
この小型アナログ・シンセサイザーも、完全デジタル仕様だったとしても、個人的には良いと思ってます。
そんな事よりも、一番大切な事は、、、その楽器の肩書きを「シンセサイザー」と名乗りたいのであれば、、、
そのシンセの姿、形、機能、コントローラー等々。
それらを使って触った人達に、如何にして「シンセサイザーらしい発想」に導く事が出来るのかだと思ってます。
そこで鍵盤押さえて、指を動かして「ドレミファ♪」って発想が真っ先にたつようなシンセサイザーなら、「それ、シンセじゃないだろ」と言いたいわけです。
それぐらい、この小型アナログ・シンセサイザー、面白いですよ。
自由な発想でコントロールしてみて下さい、、、という感じです。
具体的に製品化されるのは、もう少し先ですが、楽しみです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました