Iwo_Jima

滑り込みでクリント・イーストウッド監督作品、硫黄島2部作の前篇にあたる、「父親たちの星条旗」を観てきました。
良い作品でしたよ、観ておいて良かったな、と。
1枚の写真に写った3人の硫黄島での戦闘と、その後を描いた作品。
凄くドキュメンタリー的に作られていて、“語り”部分以外では、ほとんどBGMも無く、淡々とストーリーが進みます。
勇ましい、悲しいBGMや、強烈なメッセージ性のある台詞もありません。
硫黄島であった戦闘という事実と、そこから生き残ったアメリカ兵の苦悩、それがあるだけです。
もちろん、戦争は悲惨だ、、、なんていうメッセージもありません。
だから、実は映画的な感想っていうのが、あまり沸いて出てこないんですよね。なんだか、凄く不思議な感覚なんですよ。でもね、観ておいて良かったな、と。それは凄く感じるんです。
たぶんね、この映画を観て単純に、「戦争って悲惨だ」とか、「兵隊さんがかわいそう」、「戦争は二度としてはならない」とかね。そういう事を伝えるために、わざわざ硫黄島を舞台に映画を作ったんじゃないと思うんですよ。


今も昔もれっきとした日本の領土である硫黄島ですが、残念な事に今は一般人の立ち入りは禁止されています。この映画も、もちろん本物の硫黄島で撮影されたわけじゃありません。
(一部は、本当に硫黄島で撮影されていますが)
500年も1000年も前の、本当か嘘かわかんないファンタジーな時代の歴史には凄く時間を掛けて義務教育で取り上げるのに、昭和以降の現代の歴史は、まず義務教育では取り上げない。
だから、私も硫黄島の真実なんて何も知らない。
サイパンでの玉砕とか満州での731部隊とか、この硫黄島とか、、、今だに真実が闇に葬られている悲惨な事実があるわけでしょう。
今回の「父親たちの星条旗」は、アメリカの視点からの硫黄島。
だから、殺される兵士役以外では、まったく日本人は出てこない。あえて、そうしているんだろうね。
淡々と進み、最後のエンドロールが始まった時、ちょっとした驚きがあった。
スタッフロールと共に、当時の本当の写真の数々が映し出される。
3人の主人公や、それを取り巻いていた兵士達も全て実在の人物。そして、映画の中で登場する色々なシーンも、その写真に映し出される。その時、改めてこれは映画なんだけど、60年前の事実なんだと知らされる。映画の1シーン1シーンが、そういう事実から生まれていると、最後になって実感させられる。
なんともいえない気持ちになりました。
戦争は悲惨だ、とか悲しいとか、そういうもんじゃなくて。
戦争なんて国同士がやる事であって、死んでいく1人1人の兵士が望んで戦争が起こるわけじゃない。
なんで、この人達は、、、アメリカ兵であれ日本兵であれ、この硫黄島にいるんだろう。
銃器を持って人を殺す事をやりたくて、ここにいるんでしょうか。
なんのために、太平洋の孤島、硫黄島にいるのでしょう。
まもなく、日本からの視点である「硫黄島からの手紙」が公開されます。
ぜひ、観て見たい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました