FAHRENHEIT 9/11

「FAHRENHEIT 9/11」
さて、全国拡大公開となった21日、早速、観て来ました。
おっと、、、「FAHRENHEIT 9/11」。。。
邦題は「華氏911」、そう、マイケル・ムーア監督の、例の問題作です。
この映画の感想を書く前に、映画以外で印象に残った事を一つ。
やはり内容が内容なだけに、客の3分の1ぐらいは外国人、、、たぶん大半がアメリカ人だとは思うのですが、その人達のリアクションが印象的だった。
大笑いをする人(大笑いですけど、かなり失笑が入ってますけどね)、そして私の隣にいた外国人は、途中から舌打ちをしたり、深くため息をついたり、かなり御立腹の様子だった。ちょうどイラク戦争で、アメリカ兵が戦争をゲーム感覚でBGMを流しながら攻撃をするんだ、、、というインタビューのシーンあたりから、かなり御立腹されていた。
それは、ブッシュ大統領や戦争という行為に対して、怒りが込み上げて来ている感じだった。
(実際、最後の方はかなりピリピリ来ていて、少し怖かった、、、(^^;;)
まぁ、なんにしてもこの映画、観て損はないでしょう。
ニュートラルな気持ちで映画館に入って下さい。
そして、立ち止まって、考えるべきでしょう、色々とね。
何が真実かは、誰かに聞いたり教えてもらったりする事じゃなくて、立ち止まって、深く考える事が必要なんだと。
では、少し感想を書いてみます。
以下、もし、これから「華氏911」を観る予定のある方はクリックしないように(^^;;


映画が始まると、ブッシュ大統領の当選劇から話は始まる。
その裏に隠された真実とは?
その巨大な権力と財力は、ブッシュ一族とオサマ一族、タリバーンとの深い関係からなのか?
小気味良いテンポで、ブッシュ大統領をコケにする、ムーア監督。客席からは、笑いが絶えない。
そして、あの瞬間がやって来る。
9.11同時多発テロ。
スクリーンはブラックアウトし、会場は暗闇に包まれる。スピーカーからは雑音が飛び交う。それは危機迫る雑音。テロリストにハイジャックされた飛行機内での音声、世界貿易センタービルの周りで飛び交う人々の声とサイレン、、、
スクリーンがゆっくり光を取り戻す時、世界貿易センタービルを無言で見守る多くの人々の、恐怖と不安が入り交じった顔が映し出される。しかし、世界貿易センタービルの映像は出て来ない。延々と人々の顔、そして空から散らばって降ってくる紙が映る。
アメリカは知っていた、国内でテロが起こることを?
ビジネス・チャンスと報復のためだけに、9.11同時多発テロは黙認された?
そして、タリバーンへの報復攻撃。
イラク戦争へ。
全て、金儲けだけのために?
開戦当時、若いアメリカ兵はインタビューに意気揚々と答えている。
「スリルがあるね。戦車に乗っている時は、いつもBGMをかけてるんだ。特に攻撃する時は、この曲がいいね〜」
しかし、、、
丸焦げになったアメリカ兵の遺体を、棒で叩き続けるイラク人。
アメリカでも問題になった、アメリカ人の遺体を橋に吊るし上げた、あのシーン。
腕の肉が飛び散り、骨がむき出しになっている、何の罪もないイラクの子供。
イラク人の遺体に集る、多くのハエ。。。
全て、金儲けだけのために?
貧困層をターゲットにして、軍入隊の勧誘をするアメリカ。
ある兵士は、ムーアのインタビューで答えた。
「私は、命令されても、もうイラクに戻るつもりはない。例え刑務所行きになったとしても」
客席から拍手が起こる。
アメリカの議員の子供がイラク派兵されているのは、たったの一人しかいない?
ムーアは、議員に突撃する。
「あなたの息子も、アメリカとイラクの為に貢献しませんか、ぜひイラクに」
答えにつまる議員達。
イラクで戦死した息子の家族にインタビューが及ぶ。
父は言う、「悔しいのは、息子が死んだ理由が分からないんだ」
ムーア監督は最後にブッシュの演説で、次のようなシーンを「華氏911」の締めくくりとした。
「私を騙すことなど、二度と出来ない」
ムーア監督は、ナレーションで答える。
「僕も、もう騙されない」
客席から、最後に大きな笑い声と共に、大きな拍手が沸き起こる。
スタッフロールが終わった後、再び大きな拍手。
この映画、色々とニュースの話題になっていたし、「ああ、ブッシュ大統領を批判する映画」なんだと認識していた。
確かに、ブッシュ大統領のやる事なす事に批判的であり、コケにしている。
笑わずにはいられない。
しかし、映画も中盤になってくると、、、そう、話がイラク戦争に及んで来ると雰囲気は一変する。
上にも書きましたが、少なくともアメリカや日本のマスコミでは絶対に流れない、あまりにも惨すぎる戦争の現状が映し出される。と同時に、アメリカ国内ではイラク戦争をビジネスとしか考えていない、多くのアメリカ人が映し出される。
アメリカにとって、イラクでアメリカ人やイラク人が、何れだけ死のうが興味のない話であり、問題なのはいかにビジネス・チャンスをモノに出来るかという事だけなのか。
見終わって思ったのが、これはブッシュ大統領を批判する映画でもなく、また戦争を批判する映画でもない。
この映画が唯一、批判しているのは「アメリカ国民」そのものなんじゃないかと。
映像は滑稽で笑える、しかし、その滑稽な人達が他国で多くの人の命を奪っている。映像は笑える、でも、その真実は笑えない、とても。
人々は、また数年後、同じ過ちを繰り返すのだろうか、そんな気持ちに最後はなりました。
「華氏911」オフィシャルサイト
「FAHRENHEIT 9/11」オフィシャルサイト
Michael Mooreオフィシャルサイト

コメント

タイトルとURLをコピーしました