テクノを語る(2)

日本国内でもそうですし海外でもそうなんですが、テクノっていう音楽ジャンルは、所謂「商業音楽」という業界から一歩、下がった位置にいるんですよね。
まず、テクノを作ってる連中って「売れる曲」を作ろうなんて、全く考えてない(笑)、、、どちらかと言えば「自己満足・自己中心」的な曲ばかり作ってる。もちろん、プロになれば、それで生活しなくちゃいけないから、それなりに「売れる曲」は作ってはいるけど、同じアーティストが変名で、平気に自己満足なアルバムをパッと作っちゃう。
例えば、日本の某テクノ・レーベルから出ていたコンピレーション・アルバムに収録されていた曲で、♪プレートテクニクスっていう曲なんかは、5,6分ずっと「ゴッー」って地響きの音が続くだけ、ただそれだけ。
例えば、UKで“テクノ・モーツァルト”なんて呼ばれていたエイフェックス・ツインは、シングル曲でドッカンドッカン鳴ってる、耳に痛いリズム音に、人の絶叫する声を入れてるだけ、ただそれだけ。
正直「なんだ、こりゃ」と、流石にテクノ好きの私でも思うわけですよ(笑)


しかし、同時に、こういう曲を平気に作って、平気にレコードにして出しちゃう「テクノ」っていう音楽ジャンルの裾野の広さというか、懐の深さというか、関心しちゃうんです。
こんな曲、東芝EMIに持ち込んでも、数秒でゴミ箱に捨てられるでしょうね。
あと、音楽は国境が無い、、、とはよく言われますけど、テクノってある意味、本当に国境が無いんですよ。
私が今までで一番ビックリしたのは、“NAGAI・ERI”というテクノ・ユニットです。ユニット名を見ると女性の名前のような感じなわけですが、私がこの“NAGAI・ERI”というユニットのレコードを見つけたのは、イタリアの「ACV」というレーベルだったんです。
“ナガイ・エリ”って、日本人なのかな?
、、、と素朴な疑問を持っていたわけですが、なにせイタリア産なわけですから、実際のところ分からんわけです。
で、実は当時、富山県在住の女子高校生が“ナガイ・エリ”だったわけで、流石に驚きましたよ。彼女は自宅で作った曲を、イタリアのレーベルに送っていたわけです。日本に居ながらイタリア・デビュー。
Rolandとも色々とタイアップしたことのある、日本を代表するテクノ・アーティスト、ケン・イシイも同じ感じで有名になった一人です。彼はサラリーマン時代に、自分の曲をカナダやベルギーのレーベルに送って、立て続けにレコードを発売して、とうとうUKでテクノ部門1位になっちゃって。
日本で、「ケン・イシイって日本人か?」、「日本に住んでるのか?」とか、色々と噂が出たんですけど、何の事は無い、東京在住の普通のサラリーマンだったという(笑)
こんな感じ、テクノという世界では普通なんですよ。珍しくない。
こういう自由な感じが、テクノというジャンルの魅力の一つだな、と思うんですよ。
P.S.ナガイ・エリ嬢が大学生になった頃、実は彼女のライブを体験していたりします、それも彼女の地元、富山で(笑)

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